ここでは、REBTをアルバート・エリスがエレガントソリューションと呼んだ意味について、解説します。
REBTでは、推論的認知には働きかけないのが、基本ですとREBTについて③で説明しました。REBTは評価的認知のみに働きかけます。また、推論的認知に働きかける場合があったとしても、まずは、評価的認知=イラショナル・ビリーフに働きかけ、その後、これがどうしても効果を発揮しない場合に、推論的認知に働きかけることも場合によってある訳ですが、ここが認知療法との大きな違いの一つです。
推論的認知に働きかけるメリットは、以下です。
- その人のイラショナルビリーフ(人生哲学)に迄働きかける事をしなくても、例えば、その友達はあなたのことを嫌っていたわけではなくて、気づかなかっただけなんじゃないですか?と言う様な推論に対する論駁のみで展開できれば、短時間で、効果を期待できる。
- それゆえに、相談者との信頼関係がまだ、低い段階でも、相談者は、気を楽にすることが出来る。
一方、推論的認知には、働きかけず、評価的認知にのみ働きかけるメリット(REBTの立場)
- 不幸にして、その推論、例えば、上記の例で本当に相手が自分を嫌っていたとしても、論駁は、有効になる。
- 推論の正しさについて、議論する必要がないので、話が平行線をたどる可能性が少ない。
- 評価的認知に働きかけることで、より深いその人の人生哲学を変えることが出来る可能性が高くなる。その人生哲学が、様々な感情問題に影響している場合は、多面的な効果が得られる。
それゆえに、REBTは、エレガントソリューションであるとエリスは、話をしたのです。つまりその方の根本にある人生哲学に働きかける訳ですから、大きな成果を得やすいと言う事です。