経営者の条件序章 「成果をあげる為には」レジメ
八つの習慣
カリスマ性ではない。
成果を上げたのは、8つの事を習慣としていたのが要因
1. 知るべきこと
(ア) なされるべき事を考える。
(イ) 組織の事を考える。
2. 成果を上げる
(ア) アクションプランを作る。
(イ) 意思決定を行う。
(ウ) コミュニケーションを行う。
(エ) 機会に焦点を合わせる。
3. 組織内の全員に成果をもたらす。
(ア) 会議の生産性を上げる。
(イ) 「私は」ではなく「我々は」を考える。
第一の習慣 なされるべきこと、組織の事を考える。
何をしたいかではなくなされるべきことを考える。
GEウェルチ 今いかに利益が上がっていようとも、世界で一位二位になる価値のない事業からは手を引く。
成果を上げるには手を広げ過ぎてはいけない。一つの事に集中する必要がある。
なされるべきことを考えたら、優先順位をつける。
第一優先順位以外の事をしてはならない。
仕上げた後も、自動的に二位だった課題に移行してはならない。
成果を上げるためには、自らが得意とするものに集中しなくてはならない。
第二の習慣 組織の事を考える。
例)同族企業の人事 非同族による委員会に於いて能力と仕事ぶりが認められた親族のみが、デュポンの役員に。
第三の習慣 アクションプランを作る。
エグゼクティブとは、行動する者、物事をなす者
行動の前には計画。
1. 望むべき結果
『今後、一年半自分は何によって貢献するべきか』『いかなる成果をもたらすべきか』『それはいつまでにか』
2. 予想される障害
行動への制約条件『倫理的に正しいか』、『組織内で理解を得られるか』
『法律的に問題がないか』『組織としての御ション、価値感、方針にあっているか』…これらの制約を無視するなら、どんな行動も間違ったもの、成果を期待し得ない物になる。
3. 必要となる修正
一つの失敗が、新しい機会をもたらす故に、頻繁に修正していくべき。
事業環境、組織内の変化についても同様。
アクションプランは、柔軟性が当然。
4. チェックポイント
成果を期待と照合する為にチェックポイントが必要。
中間点、終わり近く、次のアクションプランを策定する前
5. 時間管理上の意味合いを考える
アクションプランは、時間管理の基準として重要。最も希少な価値ある資源は時間。時間の使い方のめどになるのがアクションプラン。
行動する。
第四の習慣 意思決定を行う。
意思決定の条件を満たす為に次の四つを決めなくてはならない。
(1) 実行の責任者
(2) 日程
(3) 影響を与えるがゆえに決定の内容を知らされ理解し、納得すべき人
(4) 影響を受けなくとも決定の内容を知らされる人
意思決定は、すべて、それを行う時と同じ慎重さで、見直さなくてはならない。それによって、間違った決定も害をもたらす前に修正が出来る。
・ 人事・・・上手くいかなかったら動かされた者を無能と決めてはならない。
人事を行ったものが間違っただけである。
その後、動かしてやることが本人と組織に対しての責任である。
新しい仕事で上手くいかなかった者は、前と匹敵する地位と報酬に戻してやる事を慣行化すべき。→上手くいっているポストからリスクのあるポストへの異動のインセンティブになる。
・ 意思決定の定期的な見直しは、自己啓発の手段になる。
意思決定の結果と期待との照合は強み、改善すべきもの、知識や情報で欠けているものが明らかになる。自らの偏りも明らかになる。
組織としての意思決定は、スペシャリストから、現場の経営管理者までのあらゆるレベルで行われていると言う認識が必要。トップの意思決定だけが意思決定ではない。→意思決定は、致命的に重要なスキルである事を周知せよ。
第五の習慣 コミュニケーションを行う
アクションプランを理解してもらう必要性→上司、部下、同僚に示し、意見を聞く。
同時に自分がどんな情報を欲しているかと言う情報ニーズを知らせる。
部下だけでなく、上司、同僚からの情報にも十分に気を配ることが大事。
バーナード経営者の条件。情報によって、組織の一体性は、もたらされる
組織成立の三要件 共通目的、コミュニケーション、
必要な情報を求め続けろ
第六の習慣 機会に焦点をあわせる。
問題でなく、機会に焦点を合わせろ。問題は、
第二優先。→問題はへの対応は、損失を防ぐだけ。
変化を脅威ではなく、機会として捉えなければならない。
機会着眼の7つの視点
(1) 自らの組織と競争相手における予期せぬ成功と予期せぬ失敗
(2) 市場、プロセス、製品、サービスにおけるギャップ
(3) プロセス、製品、サービスにおけるイノベーション
(4) 産業構造と市場構造における変化
(5) 人口構造における変化
(6) 考え方、価値観、知覚、空気、意味合いにおける変化
(7) 知識と技術における変化
問題に圧倒されて機会を見失ってはならない。
月例報告書の第一ページは、機会を列挙し、問題は二ページ目以降にすべし。
一流の人材に機会を担当させろ。
機会リスト、人材リストのマッチング。
第七の習慣 会議の生産性を上げる。
トップマネジメントのみならず会議に多くの時間を割かれる現状→成果を上げるには会議の生産性の向上は必須。
会議は事前に目的を明らかにする。
会議の種類を明確に定義し、目的を決め、目的の為のルールを守らなくてはならない。目的に達したらすぐに終わる。必要な準備をし、そのテーマにあった運用を決める。タイムマネジメントの工夫が必要。
会議の生産性を上げるには自制が必要。
アルフレッドスローン(GM)
会議の冒頭に目的を明らかにする
後は、耳を傾ける。メモもとらない。
分からない事を聞く以外は、発言しない。
最後にまとめと挨拶
部屋に戻って直ちにメモ化。結論と宿題を書く。→担当者と期限を明らかに。
コピーを全員届ける。
第八の習慣 「私は」ではなく「我々は」を考える。
最終責任は自らにある。最終責任は、誰とも分担出来ない。誰にも委譲出来ない。
トップが権威を持てるのは、自らのニーズと機会ではなく、組織のニーズと機会を考えるからだ。
おまけ
「話すな。聞け」
まとめ
成果を上げるには、性格、強み、弱み、価値観、信条はいかようでも良い。なされるべきことをなすだけで良い。
成果を上げるということは、習慣である。
他の習慣と同様に身につける事が出来るものである。
適用とコミットメント
本章を読んでの感想は?
8つの習慣+1 夫々での気づきは、何か?
なされるべき事を考える。
組織の事を考える。
アクションプランを作る。
意思決定を行う。
コミュニケーションを行う。
機会に焦点を合わせる。
会議の生産性を上げる。
「私は」ではなく「我々は」を考える
「話すな。聞け。」
コミットメント
本日の学びを具体的にどの様に活かすか。
以上
ドラッカー 「経営者の条件」第一章 成果を上げる能力は修得できる。
成果を上げる者はなぜ必要か
成果を上げる事がエグゼクティブの仕事である。
=成果を上げると言う事は、物事をなすと言う事である。
エグゼクティブは常に、なすべきことをなすことを期待される。しかし、物事をなすべき者の内、大きな成果を上げている者は少ない。知力、想像力、知識水準が高くても、成果を上げることとの間には、殆ど関係ないかの様である。これらは、あくまでも基礎的な資質である。頭の良さが成果に結びつくのは、体系的な作業通じてのみである事を知らない。
・ 成果を上げる事が組織に働く知識労働者特有の能力である。
・ 肉体労働者は能率を上げればよい→決められたことを正しく行えばよい→知識労働者は、なすべき事を判断して、それをなす事が求められる。
・ 今日知識を基盤とする組織が社会の中心である。
・ 知識労働者の成果を上げる能力
「適切な仕事に取り組む」
自らをマネジメントしなければならない。自らの仕事を業績や貢献に結びつけるべく、すなわち成果を上げるべく、自らをマネジメントしなければならない。→考える事が彼らのなすべきこと。
ニューヨーカーのマンガ
知識労働者が生み出すものは、知識、アイデア、情報→溝、靴、部品ではない。
→他の知識労働者がインプットとして使い、何らかのアウトプットを生み出してくれなければならない。
如何に膨大な知識があっても、行動と姿勢に反映させなければ意味がない。
成果を他の人間に供給することが知識労働者には求められる。
知識労働者の生産性とは、なすべき事をなす能力のことである。つまり、成果を上げることである。
・ エグゼクティブとは、何か?
組織の活動や業績とは、
企業の場合、新製品を生み出すこと、市場で大きなシェアをとること。
知識労働者は、意思決定しなければならない。
単に命令に従えば良いと言う訳にはいかない。
自らの貢献に責任を負わなければならない。
自らが責任を負うものについては、自らの知識によって、他の誰よりも適切に意思決定しなければならない。
→その仕事をしている限り、目標や基準や貢献は手中にある。
知識中心の組織に於いては、責任ある地位、意思決定を行う地位、権限を持つ地位に、経営管理者だけではなく、独自の貢献を行う専門家が必要。
ゲリラ戦では、兵士全員がエグゼクティブ
かなりの数の部下がいても、組織全体の成績に重大な影響を及ぼさない人→部下の仕事の方向付けや範囲、仕事の質や方法に何ら責任も権限もない人→エグゼクティブではない。→他人を管理しているかどうかは、関係ない。
200人部下がいれば、より生産的で、貢献ができる訳ではない。
→知識労働は、量によって規定されない。コストによっても規定されない。
「成果」によって、規定されるものである。
Ex) 市場調査部門に必要な意志決定。
マネジメントに忙しく、市場調査に必要な意思決定を考える暇がなくなる
→計画グレシャムの法則。
=「我々の市場は何か?」
エグゼクティブとは?
「地位やその知識の故に、日常業務において、組織全体の活動や業績に対して、重要な影響を持つ意思決定を行う経営管理者や専門家等の知識労働者」
定型ではなく非定形業務
知識による権威→正統かつ必然。権威による意思決定と同様。本質的にトップによる意思決定と同じ。
企画→組織→統合→調整→動機づけ→成果測定
トップでも新人でもエグゼクティブは、成果を上げなければならない。
知識労働者として、自らの組織の業績に貢献すべく行動し、意思決定を行う責任をもつ、あらゆる人の為に本書がある。
働く者を取り囲む組織の現実
・ 自分ではコントロールできない四つの現実
時間が、すべて他人に取られてしまう。
組織の囚人?
日常業務に取り囲まれている。
自らの現実の状況を変える為の行動をとらない限り、日常業務に追われ続ける。
日常の仕事の流れが彼らの関心と行動を決定する。
日常の仕事の流れに任せたまま、何に取組み、何を取り上げ、何を行うのかを決定したのでは、如何に有能なエグゼクティブであろうといたずらに自らの知識と能力を浪費し達成できるはずの成果を捨てることになる。
貢献と成果に向けて働くことを可能にしてくれるものを知る基準が必要。
組織で働いている
他の者が貢献を利用してくれる時のみ成果につながる。
組織は、一人ひとりの強みを発揮させる為の仕組み
組織は、一人ひとりの知識を他の人の資源や動機やビジョンとして使う。
成果を上げる上で最も重要なのは、直接の部下ではない。組織図上では、横の関係にある人、あるいは上司である。これらの人に自らの貢献を利用してもらい成果に結び付けてもらわなければ、成果は上がらない。
組織の内なる世界にいる。
厚く歪んだレンズを通して、外の世界を見ている。
組織の中には、成果はない。全ての成果は、外にある。
最終の意思決定を行うものは企業内部ではなく外部にいる。
組織内にあるのは、努力とコストのみ。
内部にあるのは、コストセンターだけ。
一定の成果を上げるためにした努力の量が少なければ、少ないほどよい。
組織は小さいほど、組織の活動は少ないほど完全に近づく。
真の現実たる外部環境は、組織の中から有効にコントロールできない。
→最終的な決定権、拒否権を持つのは、あくまでも、顧客。
エグゼクティブの目に最もよく見えるのは、組織内部の人間関係、摩擦、問題や課題、反対や噂。
→ 外部の世界に触れる為の特別な努力が必要。
表面積は、半径の二乗で増加し、体積は三乗で増加する。→動物は大きくなるほど、体の維持の為に内部の機能の為に多くの資源を吸収しなくてはならない。→自分の構造上の複雑さや外部との隔絶によってもたらされる困難を補い克服するために奉仕しなくてはならない。
組織は、社会の機関。→外の環境に対する貢献が目的。
事実とは、つまるところ、誰かが、レッテルを貼った出来事。
フォードの例、サリドマイドの例
大事なことは趨勢ではなくて、趨勢の変化。
人は論理的に優れてはいないが、知覚的存在。
コンピュータの論理や言語で現わせない情報や刺激を軽視するな。
→意識的に外の世界を知覚する努力を!
内部の圧力によって外の世界が見えなくなる。
・ 成果を大幅に改善する方法
現存する人間をもって、組織をマネジメントする。
スーパーマンはいない。せいぜい一つの分野に優れた能力を持つ人の集まりが組織。
一つの重要な分野に強みを持つ人がその強みを元に仕事を行えるように組織を作る。
能力の飛躍ではなく仕事の方法の改善。
他の分野の必要性と何をしようとするものなのかを知る。
万能の専門家はいない。専門分野の一つに優れた人を如何に活用するからを知ることが大事。
成果を上げる方法を知ることが、→能力や知識と言う資源からより多くの優れた結果を生み出す唯一の手段である。
成果を上げる能力は、組織の必要性からして重要である。同時に一人ひとりの成果と自己実現のカギとして更に重要である。
・ 成果を上げる方法は修得できるか?
成果を上げる人は、千差万別。
成果を上げる人の共通点「なすべき事をなす能力」
成果を上げることは一つの習慣である。
→ 実践的な能力の集積
練習が必要。習慣になるように何度も反復する。
成果を上げるには、人並みの能力があれば十分。
成果を上げる5つの能力
① 自分の時間が何に使われているかを知り、残されたわずかな時間を体系的に管理する。
② 外の世界に対する貢献に焦点を合わせる。
仕事ではなく、成果に精力を傾ける。『期待される成果は何か』からスタートする。
③ 強みを基盤にする。
自分、上司、部下、同僚の強みの上に築く。夫々の状況下における強みを中心に据える。弱みを基盤にしては、ならない。
④ 優れた仕事が成果を上げる領域に力を集中する。
優先順位を決めてそれを守るよう自らを強制する。最初に行うべきことを行う。二番手にした事は、行ってはならない。
⑤ 成果を上げるために意思決定する。
決定とは、つまるところ手順の問題。成果を上げるための決定は、合意ではなく、異なる見解に基づいて行わなくてはならない。数多くの意思決定を手早く行うのは、間違い。ごくわずかの基本的な意思決定が重要。あれこれの戦術ではなく、正しい一つの戦略が必要。
感じたことは何か?
自分は何を変えてみようと思ったか?
メンバーの話の中から何を学び、掴んだか?
第一章 ワークブック
あなたのエグゼクティブとして立場に期待される成果は何か?
あなたは、日常業務の引力から離れる為に何をすべきか?
成果を上げるために上司、横の関係にある人に対して何をすべきと考えるか?
厚く歪んだレンズを通して、外の成果を見ずに、外部の世界、特に顧客を見るためにあなたがする特別の努力とは何か?
自分、上司、部下、同僚の強みは何か?そして、それらの強みを基盤にすると何が出来るか?
あなたが成果を上げるために集中すべきことは何か?
あなたは、成果を上げるためにどの様な意思決定をしなければならないか?
成果を上げる=なすべき事をなす。→適切な仕事に取り組む。あなたがなすべき適切な仕事は、何か?
以上
経営者の条件 第二章 汝の時間を知れ。
溝井伸彰
時間は、普遍的な制約条件
成果を上げる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何に使われているかを明らかにすることからスタートする。次に時間を管理すべく、時間に対する非生産的な要求を退ける。そして、最後にそうして得られた自由になる時間を大きくまとめる。
時間を記録、整理、まとめる のプロセス。→時間管理の基本
時間は制約条件。成果の限界を規定するのは、最も欠乏した資源『時間』
経済発展や経済活動の阻害要因は、資金供給ではなく、資金需要。人材は雇う事が出来る、しかし、時間は借りたり、雇ったり、買ったりして増やすことはできない。
時間は、他のもので代替出来ない。アルミ→銅、労働→資本、肉体→知識、時間は代替出来ない。
しかし、殆どの人はこの代替出来ない時間を当り前のように扱う。
時間に対する愛情ある配慮ほど成果を上げている人を際立たせるものはない。
時間をリアルタイムで記録する。→ ある会社会長の話。「幹部との時間」「大切な客との時間」「地域活動」に1/3ずつと言う。しかし、都合のよい記憶が、実際にそれらの仕事に時間を使っているように思わせる。かなりの時間を友人の顧客からの注文に早く応えるように工場に催促の電話をする事に使っていた。→ 彼の干渉は無意味、邪魔だった。
時間を管理するには、まず自分が時間をどの様に使っているかを知らなければならない
必要とされる時間
時間を無駄に使わせる圧力は常に働いている。何の成果ももたらさない仕事が時間の大半を奪っていく。ほとんどは無駄である。地位が高くなればなるほどその地位がさらに時間を要求する。→毎日会食。
誰でも事情は変わらない。成果にはなにも寄与しないが無視できない仕事に時間がとられる
僅かな成果を上げるためにもかなりのまとまった時間が必要。細切れでは無意味。
成果を上げるためには、大きな固まりの時間が必要。総量が大きくても細分化されていては無意味。
人は時間の消費者、多くは時間の浪費者。→何かを伝えるにはまとまった時間が必要。肝心な事を分からせ、何かを変えたいのなら、一時間はかかる。何らかの人間関係を築くには、はるかに多くの時間を要する。
知識労働者との関係では、特に多くの時間が必要。→上司と部下との間に権力や権威が障壁として、存在しない為か、する為か。それとも自意識の為か…。上司、同僚に多くの時間を要求する。
知識労働者は、肉体労働者と違い満足すべき仕事をしているかどうかさえ知ることは容易ではない。知識労働者とは、何を何故行わなければならないかについて、腰を据えて一緒に考えなければならない。自らの方向付けを自ら考えさせなければならない。その為、何が、何故期待されているのかを理解させなくてはならない。自ら生み出すものを利用する人の仕事を理解させなければならない。→多くの情報、対話、指導が必要。多少なりとも成果と業績を上げるには、組織全体の成果と業績に焦点を合わせなければならない。自らの目を、仕事から成果へ。専門分野から外の世界へ、すなわち成果が存在する唯一の場所たる外の世界へ向けるための時間を必要とする。
成果を上げる組織では、トップマネジメントが意識して時間を割き、時には新入社員に対しても「あなたの仕事について、私が知らなくてはならない事は何か、この組織について何か気になる事はないか、我々が手をつけていない機会はどこにあるのか。気づいていない危険は、どこにあるか、私に聞きたい事は何かを聞いている。」
知識労働者には話し合いが必要である。それが無ければ彼らは、情熱を失い、事なかれ主義に陥るか組織の機会やニーズとは無縁になる。話し合いはくつろいで行われなければならないだけに膨大な時間を必要とする。そして、それが結局は近道である。
人間関係が絡めば、時間は更に必要になる。急げば摩擦を生じる。
スパンオブコントロールの法則。→上司が、管理出来る者の数は、限界があると言う管理限界。→共に働く人の数が多くなるほど、仕事と成果ではなく、互いの間の相互作用により多くの時間が使われる。→ 組織が多くなればなるほどエグゼクティブは、更に多くの時間を必要とする。
人事についての意思決定→人事は、手早く行うと失敗する。人事の為に必要とされる時間は、驚くほど大きい。人事の決定がどの様な意味を持つかは、何度も考えなおして、初めて明らかになる。
GMのスローン→人事についての意思決定はその場ではしない。人事の秘訣「秘訣などない。最初に思いついた名前は概して間違いだと言う事を知っているにすぎない。だから私は何度も検討し直している」
人事において、正しい答えを得るには、中断されない数時間が必要である。
人事の決定がまとまった時間を必要とするのは、神は、人を組織の為の資源として創造した訳ではないと言う単純な理由による。仕事に適するように組み立て直したり鋳直したりは出来ない。人は、常に仕事に関して精々及第点であるにすぎない。従って他に変えるべき資源は存在せず、人を使って仕事をせざるを得ない時は、多くの時間と思索と判断が必要になる。機械工、事務員などの一般の仕事を簡単なものにすれば、知識労働者のなすべき仕事は増える。仕事から知識を取り除くことはできない。知識は、どこかで大きなまとまりとして使わなければならない。→知識労働者の労働時間は増加する。機械工の余暇の増大は、知識労働者の労働時間の増大によって償われなければならない。
原因は、高い生活水準というものが、創造と変革の経済を前提としているところにある。創造と変革は、時間に対して、膨大な要求を突き付ける。短時間の内に考えたり行ったりする事が出来るのは、既に知っている事を考えるか、既に行っている事を行う時だけである。
第二次大戦後のイギリス経済の不振の理由。古い世代の企業人達が、肉体労働者と同じように楽をし、短時間労働で済ませようとした事。創造と変革には時間がかかる。
組織の要請、人に関わる問題、創造と変革からの要請によってエグゼクティブの時間は益々重要になっている。
時間の使い方を診断する
知識労働は時間の活用と浪費が成果業績に影響する。
成果を上げるためには、時間の使い方を記録する。
リアルタイムに。年二回、三四週間の記録をする。
時間の使い方は練習によって、改善できる。しかし、努力を継続しなければ、仕事に流される。従って体系的な時間の管理が必要なる。時間を浪費する非生産的な仕事をみつけ排除していく必要がある。
体系的な時間管理
1. する必要のない仕事、何の浪費である仕事を見つけて廃棄する。
全ての仕事について、全く何もしなければ何が起こるかを考える。何も起こらなければ、その仕事は直ちにやめる。なすべき事は、自分自身、自らの組織、他の組織になんら貢献しない仕事に対してノーという事。
招待された会食の内1/3は会社からだれも出席しなくても構わない事が分かった社長。
2. 他の人間でもやれる仕事は何かを考える。
先のトップは、会食の残り1/3は、自分が出席しなくても構わない事を知った。
権限委譲→自らの仕事を他の人間にやらせる事を意味しているとすれば、それは正しくない。何もしないエグゼクティブこそ、最良のエグゼクティブだから、権限委譲が必要であると言うのは不真面目である。→そうではなく、「時間の記録を見た後、誰もが自分でしなくとも済む事は他の人間に任せるようになる」これが正しい。→重要な事に取り組めるようにするには、他の人に出来る事は、他の人にやってもらう事。
若い人を海外出張にだせ。
成果を上げるべき者が行っている仕事の膨大な部分は、他の人間によっても十分に行う事が出来る。自らが行うべき仕事を委譲するのではなく、自らが行うべき仕事に取り組む為に他の人に出来る事を任せるのは成果を上げるために必要なことである。
3. 自分がコントロールし、自らが取り除くことの出来る時間浪費の原因を排除する。
「あなたの仕事に貢献しないただ時間を浪費させているような事を私はしているか」と部下に問える者こそ成果を上げる者
会議に必要なメンバーのみ集めて、真の参加希望者のみを募り、それ以外には後に、要約とコメント要請をするとした社長
不必要かつ非生産的な時間が多い事についてとは誰もが良く知っている。しかし。時間を整理する事は恐れる。間違って重要な事を整理してしまうのではないかと恐れる。だがそのような間違いは直ぐに訂正出来る。整理しすぎればすぐにわかる。
事実上、時間を整理しすぎる危険性はあまりない。通常、誰でも自分の重要度について過大に評価しがちなもの。あまりに多くの事は、自分でなければできないと考えている。→ 多くの不必要且つ非生産的な仕事をしている。
ルーズベルト大統領の特別顧問 ハリー・ホプキンス…「核心の大家」
ハリー・ホプキンスの例は、本当に努力さえすれば、いかに自分の時間をコントロールできるか。成果を損なうことなく、時間を整理できるかを教えてくれる。
時間浪費の原因を整理する
マネジメントと組織構造の間違いに起因する時間の浪費
1.システムの欠如、先見性の欠如から来る時間の浪費
1. 周期的な混乱
繰り返される混乱。→ 予知できるのだから予防しなくてはならない。
2. ルーティン化
そして、ルーティン化しなくてはならない。判断力のない未熟練者でも天才を必要とする仕事を処理できるようにする事をルーティン化と言う。経験から学んだ事を体系的かつ段階的なプロセスにまとめる事である。
3. マネジメントが行き届いた工場は、静か。産業の叙事詩とも言えるような騒然とした工場は、マネジメントされていない。良い工場は、混乱は予測され、対処の方法はルーティン化されている。→劇的な事は何も起こらない。良くマネジメントされた組織の真に劇的なこと『明日を創る意思決定』であり、昨日の尻拭いの為のから騒ぎではない。
2.人員過剰から来る浪費
1. 溝を二人で掘るか?四人で掘るか?
2. 仕事をするより互いに作用しあう時間に多くの時間が消費。
3. 組織の上の方の人たちが、一割以上もの時間を人間関係、反目、摩擦、担当、協力に関わる問題に割いていたら、人が過剰である証拠。互いに仕事を邪魔している。
4. 熱力学の専門家 →高度な技能を持ちながら仕事のない専門家を抱える事は、組織全体の士気にかかわる。必要に応じて、料金を支払って相談に行く方が安上がり。
3.組織構造の欠陥からくる時間の浪費
1. 兆候が会議の過剰 会議→組織の欠陥の補足、互いの協力の為。
理想的に設計された組織は会議のない組織。
2. 会議は、目的を持って方向付けしなければならない。
方向付けのない会議は迷惑なだけでなく、危険である。
会議は例外ある、原則ではない。
時間の多くが会議に費やされているとすれば、組織構造に欠陥ある。
→組織を見直せ。例えば、SBU(BU)の整理が必要。
皆が会議ばかりしている組織は、何事もなしえない組織手である。
4.情報に関わる機能障害から来る時間の浪費
1. 必要な所に届かない情報
入院ベッドの空き情報
2. 不適切な情報
工場に必要な経理の提供する数値。
これらの改善は、粘り強さを必要とするが、成果は大きい。特に時間に関わる成果が大きい。
自由になる時間をまとめる
1. 時間を記録し分析し、仕事を整理するなら、重要な仕事に割ける時間を把握できる。しかし、時間浪費の原因になっているものを容赦なく切り捨てても、自由になるまとまった時間はさほど多くならない。
ドラッカーのアドバイス先の話。
2. 組織トップの自由になる時間は、1/4もない。組織を維持する時間に多くが費やされる。
組織が大きくなればなるほど、組織を機能させ、生産的にする為の時間ではなく、組織を維持し運営する為の時間が多くなる。
3. ∴『成果を上げるためには、自由になる時間を大きくまとめる事が必要』まとまった時間を作れ。
家での仕事
会議、打ち合わせを集中させる
朝の電話のない書斎での1時間半の仕事→夜仕事を持ち帰るよりはるかに良い。
4. 時間に対するアプローチ
1. 本当に自由になる時間がどれだけあるのかを把握
2. 適当なまとまりのある時間を確保
3. 生産的でない時間がこの貴重な時間を食い荒らさないか目を光らせる
仕事を刈り込み過ぎると言う事は、殆ど起こらない事を知れ。
5. 継続的な時間管理の実施
継続的に時間の記録をとり、定期的に仕事の整理をしなければならない。そして、自由に出来る時間の量を考え、重要な仕事については、締め切りを設定しなければならない。
時間は、稀少な資源である。時間を管理できなければ、何も管理できない。その上、時間の分析は、自らの仕事を分析しその仕事の中で何が本当に重要か?を考える上でも体系的かつ、容易な方法である。
汝の時間を知れとの処方には、誰でも従う事が出来る。結果として、誰でも貢献成果の道を歩む事が出来る。
質問
1. 自身の時間について感じたこと、又、その改善のポイント
2. 実行すべきこと。
3. 自身が所属する部門について感じたこと、又、その改善のポイント
4. 実行すべきこと。
5. 会社全体について感じたこと、又その改善のポイント
6. 実行すべきと考えること。
7. 計画グレシャムの法則:日々の些細な仕事に多くの時間がとられ、最も大切な計画づくり仕事がないがしろになっていくこと。→話を聞いてどう感じたか。
以上
アウトプット 第二章 汝の時間を知れ
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あなたが上げるべき成果は何か?
そして、その成果を上げるための必要十分条件は何か?
あなたにとって、成果に何も寄与しないが無視出来ない仕事は何か?
自分がする必要のない仕事は何か?人に任せるべき仕事は何か?
方向付けが必要な部下とそのテーマは何か?
あなたの職場のマネジメントと組織構造の間違いに起因する時間の浪費
システムの欠如からくる時間の浪費は・・・・
その対策は・・・(自分が出来る事)
人員過剰から来る時間の浪費は・・・・
その対策は・・・(自分が出来る事)
組織構造の欠陥から来る時間の浪費は・・・・
その対策は・・・・(自分が出来る事)
情報に関わる機能障害から来る時間の浪費は・・・
その対策は・・・・(自分が出来る事)
経営者の条件 第三章 どの様な貢献が出来るか
貢献へのコミット
・ 手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける
・ 組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。
・ 責任を中心に据える
・ 貢献に焦点を合わせること→成果を上げるカギ。
・ 努力、組織や上司が自分にしてくれるべきことを気にし、自分の持つ権限を気にする
・ →成果につながらない。
・ 「他の経営管理者たちが正しい決定が出来るように情報提供している」
・ 「客が将来必要とする製品を考えている」
・ 「社長が行う事になる意志決定について考え、準備している」→フォーカスされた自分の仕事の定義が出来ているものは少ない。
・ 『貢献に焦点を合わせ成果に責任を持つものは、最も厳密な意味でトップマネジメントの一員である』→組織全体の業績に責任を持とうとしているから
・ 貢献に焦点を合わせることによって、自らの専門、スキルや部門ではなく組織全体の成果に注意を向けるようになる。
・ 自らの専門やスキルや部門と組織全体の目的との関係について徹底的に考えざるを得なくなる。
・ 自らの組織の産物の究極の目的である顧客の観点から物事を考えざるを得なくなる。
・ → 仕事や仕事の考え方が大きく変わる。
・ 前の広報誌を作っていた部長 → 「この研究所が成果を上げるた上でどの様な貢献が出来るか」を自問。→答え「外部の若い科学者たちにこの研究所に興味を持たせ、一緒に働く気を起させること」⇒編集の焦点は、研究所にとっての重要な問題、決定、論争に絞る。「広報誌の価値は、我々が気に入ることではない。外部の科学者が何人研究所に入ってくれるか。彼らがいかに優秀かである」
・ 我々の為に書く、我々に向けて書くの違い。
・ 自らの貢献を問う事は、可能性を追求することである。→多くの仕事に於いて、優秀な成績とされているものの多くは、その膨大な可能性からすれば、あまりに貢献の小さいものであるかが分かる。
・ アメリカの大手証券代行部 → 担当する副頭取の自問 「証券代行部はどの様な貢献が出来るか」⇒ 事業会社の財務担当役員と直接折衝する機会をもたらしている→強力な営業勢力となった。
・ どの様な貢献が出来るかを自問自答しなければ、目標を低く設定するばかりでなく、間違った目標を設定する。何よりも自ら行うべき貢献を狭く設定する。
・ あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。
① 直接の成果
売上、利益。→直接の成果がなんであるか混乱している状態では、成果は期待し得ない。
英国の国営航空会社→ 事業として運営されるものとされた。/ 国の政策、大英連邦の有機的結合の体現。/英国の航空機産業の維持の為に運営・・・三つの目標、混乱。
② 価値への取組
シアーズ「一般家庭の為に最も安く最も品質の良い財やサービスを見つけ出す」
「技術面でリーダーシップを発揮する」等
米国の農業政策の矛盾
③ 人材の育成
組織は、個としての生身の人間の限界を乗り超えた手段である。
ビジョンや能力や業績に於いて、今日の水準を維持しているだけの組織は、適応の能力を失ったと言うべきである。人間社会に於いて、唯一確実なものは、変化であり、自らを変革出来ない組織は明日の変化に生き残ることはできない。
貢献に焦点を合わす→人材を育成する。人は課せられた欲求水準以上に適応する。貢献に焦点を合わせるものは、共に働くすべての人の視点と水準を高める。
※ ブライアン看護師の例
『それは患者さんにとって一番良いことでしょうか?』→皆が目的とするものに最高に貢献しているかを常に考えるようになっていた。
・ 貢献に焦点を合わせることは、責任をもって、成果を上げると言う事。
・ 貢献に焦点を合わせずしては、自らをごまかし、組織を壊し、共に働く人を欺くことになる。
・ 新たに任命された者が失敗するのは新しい地位の要求に応じて、自らを変える事が出来ていないことに起因している。→ それまでしてきたことと同じ貢献を続けていたのでは失敗する定め。→貢献すべき成果そのものが変化し、それだけでなく、三つの領域での相対的な重要性も変化する。
・ 成功した人は、皆、貢献に焦点を合わせていた。→その結果として、仕事の内容と共に、価値の相対的な比重までも変える事が出来た。⇔失敗した人の方が良く働いていたという例も
・ 多い。しかし彼らは、自分に挑戦しなかった。努力の方向を変えることに気がつかなかった。
※ 大手小売りチェーンの60歳過ぎてから社長になった人
自分に出来て、人に出来ていない事で、もし、本当にうまくやれば会社を大きく変えるものは何か?と言う問い→明日のエグゼクティブを育成すること。「計画だけでは何もできない。私の仕事は、実施されるようにすることだ」
※ 米国防長官 ロバートマクナマラ
どの様な貢献が出来るか?→国防長官の仕事には、議員達の理解と支持が不可欠→
各委員会の有力者と交友関係を築き上げ議会工作をした。→成果
地位が高くなれば、外部への貢献が大きな比重を持つ様になる。しかも外部で自由に動き回れるのは、地位の高い者でしかない。
専門家に成果を上げさせるには。
・ 知識労働者は、貢献に焦点を当てることなく、貢献するすべはない。
・ 専門家は、一つのことだけを良く行う時=専門化した時のみ大きな成果を上げる。
・ 専門家のアウトプットは、他の専門家のアウトプットと統合されて成果となる。
・ 必要なことは、彼と彼の専門知識をもって成果を上げさせることである。→自らの成果物である断片的な産出物を生産的な存在にする為に、何を知り、何を理解し、誰に利用してもらうかを知ること。
・ 専門家はみな、成果を上げるためには、他人によって理解されなくてはならない。
・ 知識あるものは、理解されようと努力する必要がある。素人は、専門家を理解すべきと言うのは、野卑な傲慢である。この主張は専門家自身を無益な存在にする。
・ 貢献に責任を持つなら自らの 産出物、知識の有用性に強い関心を持たなくてはならない。
・ 顔を上に向けることで他の人が何を必要とし、何を見て、何を理解しているのかを知ることが出来る。
・ 更には、上司、部下、他分野の同僚に対してあなたが組織に貢献する為には、「私はあなたにどの様に貢献しなくてはならないか?」「いつどこでどの様な形で貢献しなければならないか」を聞く必要がある。
※ 経理の人間にとっては、重要でも現業の人間には無意味数字と現業で必要になる数字の識別
・ ゼネラリスト=「自らの知識を知識の全領域に正しく位置づけられるひと」
・ 貢献に責任を持つ者は、その狭い専門分野に真の全体を関係づける事が出来る。自分の仕事の成果を生かしてもらうには他の人のニーズや方向、限界や認識を知らなくてはならない事を理解している。
人間関係のあるべき姿
・ 対人関係の能力を持つことによって、良い人間関係が持てる訳ではない。自らの仕事や他の関係において、貢献に焦点を合わせることによって、良い人間関係がもてる。
・ 生産的であることが良い人間関係の唯一の定義である。
・ 仕事上の関係に於いて成果がなければ、温かな話や感情も無意味である。
※ マーシャル、アルフレッドスローン、ニコラスドライスタット
※ 三人とも夫々の仕方で、上司、部下、同僚との関係を貢献を中心に築いた。三人とも多くの人ひとと、緊密な関係を持って働いた。→人間関係に悩む事はなかった。
・ 貢献に焦点を合わせることによって ①コミュニケーション②チームワーク③自己啓発 ④人材育成と言う成果を上げる上で、必要な4つの基本能力を身につける事が出来る。
・ コミュニケーション 上司が部下になにか言おうと努力すればするほど却って部下は聞き間違える。部下は、自分が聞きたい事を聞きとる。
・ 部下たちが貢献すべき事を要求する。「組織及び上司である私は、あなたに対してどの様な貢献の責任を期待すべきか」「あなたの知識や能力を最もよく活用できる道は何か」を問う。まず、部下が「自分がどの様な貢献を期待されるべきか」を考えるようにする。→上司の側に部下の考える貢献について、その有効性を判断する権限と責任が生じる。
※ 部下が設定する目標は、上司が設定するそれと大きく異なる。有能であるほど、現実や機会、ニーズについての見方が上司のそれと違ってくる。この違いはかなり大きい。
・ 果たすべき貢献を考えることによって、横へのコミュニケーションが可能になり、その結果チームワークが可能になる。
・ 自ら生み出すものが成果に結び付くには、誰にそれを利用してもらうべきかとの問いが、指示命令系統の上でも下でもない人たちの大切さを浮き彫りにする。
・ 状況の論理や仕事の要求に従って、自発的に協力する。
※ 医療サービス 主治医の治療方針に従って、共通の目的の為に協力して働く専門家達。→ 貢献に焦点を合わせる事が当然になっている病院はほとんど困難なしに実現できている。
・ 知識労働者は、自らの仕事に対して、プロでなくてはならない。自らの能力や仕事に関して、自らに責任があると考えなくてはならない。
・ 仕事に於いては、機能別の部門に属していても、全く異なる他の専門分野の人たちと特定の任務の為に組織されたチームに於いて、責任ある一員として行動しなければならない。→上方への貢献に焦点を合わせることによって、組織の問題を全て解決できるわけではないが、そうすることで不完全足らざるを得ない組織を動かす上でのコミュニケーションを理解することが出来る。
※ 情報処理が自動化すれば、するほど、効果的なコミュニケーションの為の機会を作らなくてはならない。
・ 第三に自己啓発は、成果と大部分が貢献に焦点を合わせるかどうかにかかっている。
・ 組織への貢献→いかなる自己啓発が必要か、いかなる知識や技術を身につけるか、いかなる強みを仕事に適用するか。いかなる基準をもって、自らの基準とするかを考えることにつながる
・ 第四に人材育成は、貢献に焦点を合わせることによって属人的な基準でなく、仕事のニーズに根差した基準を設けることが出来るようになる。→卓越性の要求、強い意欲、野心的な目標、大きな影響力のある仕事の追求。
・ 知識労働者は、自らに課す要求に応じて成長する。自らが、成長や業績とみなすものに従って成長する。多くを求めるなら何も達成しない者と同じ努力で巨人に成長する。
会議の成果を上げる
・ 「何故この会議を開くのか?」
・ 「何を決定する為か、情報を与える為か、確認する為か」
・ 目的を明らかにする必要性の高さを主張せよ。
・ 会議の冒頭に会議の目的とはたすべき貢献を明らかにする。
・ 目的に沿って、進める。
・ 会議の終わりに、冒頭の説明に戻り、結論を会議開催の意図と関連付ける。
・ 会議を司会しつつ、重要な発言を聞く、あるいは討議に参加することの両方はできない。
・ 最も重要な原則は、会議の冒頭から貢献に焦点を合わせること。
・ 貢献に焦点を合わせることで、混乱と混沌に対応し、意味のあるものと雑音を識別できる。
・ 貢献に焦点を合わせることで原則を知り、諸々の事象の意味を知る。
・ 他の人に依存しているという組織に働く人の特有の弱みを強みに転換できる。→チーム形成
・ 貢献に焦点を合わせることで、組織の内部にひきこもる事を防ぐ。組織内部の努力、仕事、諸々の関係から、組織外部、すなわち組織の成果に目を向ける事が出来る。
・ 市場、顧客等外部の世界と直接関係を持つ事が出来る。
・ 貢献に焦点を合わせることは、つまり、成果を上げることに焦点を合わせることである。
以上
経営者の条件 第四章 人の強みを生かす。
1 強みによる人事
同僚、上司、自らの強みを総動員しなければ、成果は生まれない。
強みこそが機会である。
組織は、人の弱みを無意味なものにする事が出来る。
組織の役割は、一人ひとりの強みを共同の事業の為の建築用ブロックとして使う所にある。
強みに関わる最大の問題は、人事である。→成果を上げる事を中心に置いて異動を検討する必要あり。
○ リンカーンとグラント大佐→銘柄が分かれば他の将軍たちにも酒を送れ。
○ リンカーンは当初目だった弱みのない者ばかりを将軍に任用。→不利な戦況。
○ 南軍リー将軍→強みに基づいて任用(弱みと無関係に任用)
○ 狭い分野で強みを持つ南軍の将軍が、可もなく不可もない北軍の将軍を破る。
弱みに配慮した人事→平凡な組織に終わる。
山高ければ谷深し。弱みを避けようとするのは、弱い人。部下の強みに脅威を感じる?
→無意味。
カーネギー おのれより優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る。
○ リー将軍 解任しますか?バカなことを言うな。彼は仕事が出来る。
成果を上げるエグゼクティブ→上司を喜ばせるためではなく、仕事をする為に給料を払われている事を認識している。人に成果を上げさせるためには、「自分と上手くいっているか」を考えてはならない。
「何が出来るか」を問え「何が出来ないか」は考えるな。
『何を非常によくできるか』人事では特に一つの分野での卓越性を求めなければならない。→人の卓越性は、一つの、わずかな分野で実現されるのみ。
強みに基づかなければ出来ない事、欠陥、弱み、障害だけを手にする事になる。
何を出来るかを最初に問え。
新に厳しい上司は、部下が良くできることから考え、次にその部下が、本当にそれを行う事を要求する。
組織とは、強みを成果に結び付けつつ、弱みを中和して無害化する道具。
強みだけが意味のあるものとなる組織設計が必要。
彼が持っていない能力(弱み)は、制約要件となるだけである。
目の前の人事が人の配置ではなく、仕事の配置として現れる。→手元の人間に合うような職務構築(これは害が大きい!)人に合わせて仕事の構造を変えるなら仕事と人材の乖離は広がる。
○ 何を講義するかは学生のニーズによって決めなければならない。
○ 指揮者は、演奏家の為に楽譜を書きなおさない。
多様な人材を確保するためにも仕事を客観的かつ非属人的に作る必要がある。
組織は、多様性が必要→多様でない組織は、変革能力を欠く。正しい意思決定を行う上での異なる見解の能力を失う。
○ 友情と仕事を切り離す。
○ 好きかどうかは関係なく考える。
1.1 適切に設計されているか
仕事は人の手によるもの→不可能な仕事、人に出来ない仕事を作ってはならない。
原則…前職で成果を上げてきた人を二人三人と挫折させる仕事はそもそも人の仕事ではない。
○ 販売管理と販売促進を兼務…同時に成果を上げるのは困難。
仕事は適切に設計されているか?その為に天才を必要とするなら再設計が必要。
平凡な人間が非凡な成果を上げられるか、否か。
1.2 多くを要求するものか
仕事は、多くを要求する大きなものに設計しなくてはならない。一人ひとりが夫々の強みを発揮するものでなくてはならない。
単純な仕事でも要求するものは、必ず変化する、しかも突然変化する。そのため、仕事と人の完全な適合性は、急速に不適合化する。従って仕事そのものは、初めから大きく且つ多くを要求するものとして設計した場合においてのみ変化した状況において、新しい要求に応えていくことが出来る。
新人の知識労働者→いかなる強みをも存分に発揮できる設計が必要。→彼が何を出来るかを知らなければならない。
知識労働は、あれこれのスキルではなく、総合的な適性と能力が必要。
若い知識労働者は、早い時期に『自分は自分の強みがものを言う適した仕事についているか』を問う必要がある。
熱意に燃え、誇るべき成果を上げている人は、その能力が挑戦を受け活用されている人である。
知識労働者が貢献する為には、組織の価値や目標が彼自身の専門知識と技能のように大きな意味を持つ→コアバリューの必要性。
エグゼクティブに対して、成果を上げ貢献を果たす上で、独特のスタイルを要求する。
1.3 その人間に出来ることか
仕事が要求するものではなく、その人に出来るか?から人事をスタートしなくてはならない。
考課制度が人事に生かされていない。→弱みに着眼しているからである。
潜在能力も関係ない。→現実の評価が重要。それしかない。
→仕事を大きく且つ挑戦的なものにしなければならない理由。
成果を上げるエグゼクティブは独自の考課方法を持っている。
◎ 貢献の目標と成果を記録。
(1) 良くやった仕事は何か?
(2) 良くできそうな仕事は何か?
(3) 強みを発揮するには、何を知り、身につけなければならないか。
(4) 彼の下で自分の子供を働かせたいと思うか。
(ア) そうであるのはなぜか
(イ) そうでないのはなぜか
人間性と真摯さに関わる欠陥は、単に仕事上の能力や強みにたいする制約に留まらない。それ自体が失格につながる。
1.4 弱みを我慢できるか
強みを手にするには弱みを我慢しなくてはならない。
「人は強みを持っているか?」「その強みは仕事と関係があるか?」「その強みによって卓越した成果を上げることは重要か?」を問わなくてはならない。
→YESなら、その人を任用しなくてはならない。
手放せない人→なんとしてでも異動させよ。
実績によってある仕事に適任であれば、必ずその仕事に異動させ、昇進させなくてはならない。実績のある者には機会を与えなくてはならない。
際立った成果を上げられない者は容赦なく異動させよ→でなければ、他の者を腐らせる。上司の無能さで組織を腐らせてはならない。
○ マーシャル人事の失敗は、その者ではなく、その者を任命した者の問題とした。
○ 仕事が合わなかっただけだ。他の仕事も会わないと言う事ではない。任命した私の間違いだ。次の仕事を見つけるのが私の責任だ。
「この男は何が出来るか?」を問題にする事。
マーシャルは、強みを制約する弱みだけを気にした。そのような弱みさえ、仕事と機会を与えることで乗り越えさせようとした。
人事は賭け→何が出来るかを中心に置くことで合理的な賭けになる。
上司は、部下の仕事に責任を持つ→部下のキャリアを左右する
だからこそ、部下の強みにフォーカスしなくてはならない。
→弱みにフォーカスするのは、間違っているだけでなく、無責任。
組織は、一人ひとりの人に対して、彼らの制約や弱みに関わりなくその強みを問うして物事を成し遂げられるようにしなくてはならなない。
一人ひとりにとって、自分の強みを生かす場を持てるようにすることは重大な意味を持つ。→社会的要請。
2 上司の強みを生かす
成果を上げるには、上司の強みを生かさなくてはならない。
上司にどう対処するか→ 上司の強みを生かせ。
上司が昇格しなければ自分には機会がないものと考えよ。
上司の強みを生かすことは、部下自身が成果を上げるカギ。
へつらいは不要。なすべき事を考え、それを上司に分かる形で提案する。
上司の強みを強調し、上司が得意とするものを行えるようにすることで、部下が成果を上げられる。
「上司は何が良くできるか」「強みを生かす為には何を知らなくてはならないか」「成果を上げるためには、部下である私から何を得なくてはならないか」を考える必要がある。
得意でないものについては気にしてはならない。
○ 成果を上げる新任官僚「新長官には、何が出来るか」を考える。
○ 人には、読む人と聞く人がいる→上司にあった報告をする。何をではなく如何にに留意する。
誰もが人については専門家になれる。上司の強みに焦点を当てよ。上司の強みに焦点を当たることこそ、部下の成果につながること。
3 自ら成果を上げる
まず強みからスタートする。
させてもらえない事に不満を言う前に、出来ることで成果につながる事を考えよ。
→時間と強みの無駄。
→させてもらえないは、惰性のままに動く言い訳に過ぎない。
制約は誰にでもある。→する事の出来る適切かつ意味のある事を探せ。
まずは初めに何が出来るかということから入れば、手持ちの時間では、処理できないほどやることは山のようにある。
強みを生かすことは、仕事の仕方についても重要→自分が最も成果を上げられる方法を知れ。時間帯→朝か夜か?チームの一員か、一人か…プレッシャーがあった方が良いか?ない方が良いか?
癖や習慣のなかには、世界観や自己認識など本質的な事を反映している事が多々存在。
→成果を上げる上で人の気質は、重要。
自ら得意と知っている事を、自ら得意とする方法で行う事で成果を上げなくてはならない。強みを生かすことは、行動であるだけでなく姿勢である。
エグゼクティブは何より自分自身である。→自らの仕事ぶりと成果をみて、自らのパターンを知れ。他の人には難しいが自分には簡単に出来ることは何かを知れ。
上司、同僚、部下、自分に「出来ることは何か。」を常に考えれば、強みを探しこれを生かす方法を身につける事が出来る。
機会を育て、問題を立ち枯れにしろ。あらゆる人を機会としてみる。→弱みを無くしても何も生まれない。強みを生かす事にエネルギーを割かなくてはならない。
仕事の基準はリーダーによってもたらされる。集団の成績を上げるよりも、リーダーの成績を上げることが簡単。傑出した強みを持つ人物を当てよ。
人は、変えられない。夫々の人が持つタレントを活かせ。
経営者の条件 第五章 「最も重要な事に集中せよ」
溝井伸彰
○ 成果を上げるための秘訣=「集中」成果を上げる人は、最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。
○ 貢献を行う為の時間<行わなければならない貢献
○ 時間の分析→真に貢献をもたらす時間に割ける時間の少なさに気づく
○ 半分以上の時間は、自分の時間ではない。
○ 忙しさに身をまかせるのではなく、成果を上げる事に時間を割くには、継続的な努力が必要になる。→まとまった時間が必要になる。→厳しい自己管理&NOと言える不動の決意が必要。
○ 強みを重要な機会に集中する必要。→これ以外に成果を上げる方法はない。
○ 多様な能力を一つの仕事に集中する事が必要。→三つの仕事を同時に抱えて卓越する仕事が出来る人はいない。
○ 集中は、あまりに多くの仕事を抱えているからこそ必要。→一度に一つの仕事を化子なう事によってのみ早くできる。時間と労力と資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数と種類は多くなる。
○ 製薬会社のCEO → 国内→世界のリーディングカンパニーへ
研究開発の方向性と計画と人事に注力。独自に方向を決める必要性。→5年後二つの分野でリーダー的地位。
グローバル化に力を入れた。世界の医薬品の消費動向分析。どの国でも健康保険と医療制度が需要を動かしている事に気づく。→夫々の国の医療制度の充実に合わせて進出。=スタート時点から競争することなく、大規模に事業をスタートできた。
最後の5年間医療制度の変化に応じた戦略転換。支払いは政府、健保組合。医薬品購入は、医師。公益事業化に対応。
○ 一時に一つの仕事をする。→ 秘訣。⇔ 成果を上げられない人の方が多くの時間働く。
○ 成果の上がらない人
一つ一つにかかる時間を過小評価する。
予期しない事が起きる。だから余裕を見なくてはならない。
第二に急ごうとする。
成果を上げようとする者は、時間と競争しない。急ぐと遅れる。
同時に幾つかの事をする。
手がけている仕事の取れ一つもまとまった時間を割けない。一つが問題にぶつかると全てがストップする。
○ 成果を上げる人
多くの事をしなければならない事を知っている。しかも成果を上げなくてはならない事を知っている。
自分、組織のエネルギー、時間を一つの事に集中する。
最も重要なことを最初に行うべく集中する。
過去を計画的に廃棄する。
○ 集中の為の第一原則
生産的でなくなった過去のものを捨て去ること。
「まだ行っていなかったとして、今これに手を付けるか」を問え
→YESなら、辞めるか、大幅縮小。第一線級の人の強みという希少な資源を機能の活動から引き揚げ、明日の機会に充てなければならない。
誰もが好むと好まざるとに関わらず、過去がもたらした問題に取り組んでいる。
今日の資源を明日の為に使わなければならない。
過去の意思決定の後始末の為に時間とエネルギーを使わなければならない。→この仕事が半分以上を占める。→故に成果が期待できなくなったものを捨てることで、過去への奉仕を捨てなければならない。
→「経営者の独善的投資。」になる。最も浪費されるのは、有能な人の能力。
政府機関において、このような傾向が著しい→政省令で構造化。族議員と結びついて既得権化。不要な規制。成果を上げない活動。
あらゆる活動は、急速にその有用性を失う。生産的であり、有用である事が証明されなければ廃棄を!
政府機関だけではない。大企業経営者も不要な規則を増やし、決定を遅らせる調査、渉外関係のスタッフ増強。昨日陳腐化したものの為に、自分とトップマネジメントの時間を浪費。
学者…陳腐化した科目を必須課目に。
自ら成果を上げ、組織が成果を上げる事を望む者は、計画、活動、仕事を常時点検すべき。これは今も価値があるかと問い、NOなら、仕事や成果や組織の業績にとって真に意味のある仕事に集中する為にそれらを捨てる。
成果を上げる者は、新しい活動をする前に必ず古い活動を捨てる。
新しいものに易しいものはない。新たらしいものが、難局に陥った時、救う唯一の手立ては、仕事の出来る人を用意しておくこと。→その人の負担を減らせ。
新しいものの為に新しい人を雇うのは危険。既に確立している活動を拡張するためには、新しく雇う事が可能。新しい仕事はすべて賭けである。門外漢に新しい仕事をさせるのは、賭けを倍にする事。
組織の成長の為には、違うものの見方が出来る外部の血を入れるべき、但し、いきなりトップの地位や重要な新たな事業の責任者にせず、トップの次の地位に付けるか、明確で誤解のしようのない活動の責任者にすべき。
古いものの計画的廃棄こそ新しいものを強力に進める唯一の方法。折角のアイデアを実現すべく仕事をしている組織が少ない事が問題。
計画や活動を定期的に審査し、有用性が証明されないものは、廃棄するなら、どんな組織でも、創造性は驚くほど発揮される。
デュポン製品や工程が陳腐化を始める前にそれらを廃棄することで、優れた成績を収めてきた。人と資金を過去の防衛に投じない。
創造性開発セミナー、新製品の不足を嘆く企業→馬車用の鞭でも効率よく生産すれば市場があると考える企業。
劣後順位の決定が重要
○ 明日の為の生産的な仕事>使える時間の量
○ 明日の為の機会>取り組める有能な人材の数
○ その上、問題、混乱は十分に多い
○ ∴ どの仕事が重要でどの仕事が重要でないかの決定が必要。
○ 何がその決定をするのか?→ 自ら決める。/仕事からの圧力が決める。
○ 機会は、それを担当する有能な人が存在して初めて実現出来る。→圧力に屈した時重要な仕事が犠牲にされる。→意思決定を行動に変える為の時間がなくなる。→いかなる仕事も組織的な行動や姿勢の一部になるまではスタートした事にはならない。いかなる仕事も、誰かが自分の仕事として引き受け、新しい事を行う必要や新しい方法を行う必要性を受け入れなければ始まらない。誰かがルーティン化しなければ完結しない。→出来なければ、それまでの仕事はすべて無駄になる。
○ 状況に流されて、優先順位を決定することからくるもう一つの結果→トップ本来の仕事が全く行われなくなる事。→『昨日に由来する危機ではなく、今日と違う明日を作ること』→常に後回しにしようと思えば出来る。状況の圧力は、常に昨日を優先する。
○ 状況の圧力に支配されるトップは、外部に注意を払うと言う仕事をないがしろにしてしまう→唯一の成果の場である外部世界の感触を失う。状況は常に内部を優先する。状況からの圧力は内部>外部、過去>未来。
○ 決めるべきは、優先順位ではなく、劣後順位。→集中出来る者が少ないのは、取り組むべきでない仕事の決定とその決定の遵守が困難だから。
○ 『延長は断念を意味する』
○ タイミングは、あらゆるものの成功にとって、最も重要な要因。
○ 『延長は断念を意味する』故に劣後順位を決めて延長させる事をしり込みさせる。
○ 優先事項を列挙して、そのすべてに少しずつ手を付ける事によって、弁解の余地を作っておかない方が容易。→欠陥は何事もなされていないという結果に終わること。
○ 優先順位の決定について最も重要なことは、分析ではなく勇気。
○ 優先順位の決定についての重要な原則。
過去ではなく未来を選ぶ
問題ではなく機会に焦点を当てる。
横並びではなく独自性を持つ。
無難で容易なものではなく、変革をもたらすものを選ぶ。
○ 科学的な業績は、研究能力よりも機会を追求する勇気によって左右されている。
○ 挑戦の大きなものではなく、容易なものを選ぶことで、大きな成果は上げられない。
○ 大きな業績を上げる者は、機会を中心に研究の優先順位を決め、他の要素は、決定要因ではなく、制約要因に過ぎないとしている。
○ 大きな成果を上げる企業は、既存製品ラインの中で新製品を出す企業ではなく、技術や事業のイノベーションを目指す企業である。問題の解決、すなわち、昨日の均衡の回復等よりも、機会を成果に変える事の方がはるかに生産的である。
○ 優先順位の高い仕事を実現していく事によっても優先順位は変わっていく。
○ 現在、集中して、取り組んでいる仕事以外のものにコミットしてはならない。現在の仕事を終わらせた後、改めて状況を検討し、優先すべき次の事を選ばなくてはならない。
○ 集中とは…「真に意味のある事は何か」「最も重要なことは何か」と言う観点から仕事について、自ら意思決定をする勇気手である。
○ この集中こそ、時間や仕事の従者成ることなく、それらの主人となる為の唯一の方法である。
以上
「経営者の条件」第6章 意思決定とは何か?
溝井伸彰
■ エグゼクティブ特有の仕事
意思決定はエグゼクティブ特有の仕事→組織や組織の業績に対して重大な影響を及ぼすような意思決定を期待されている者こそ、エグゼクティブである。
いくつかの要素と手順から構成される体系的なプロセスとして、意思決定を行わなければならない。
成果を上げるには数多い意思決定をしてはならない。重要な意思決定に集中しなくてはならない。個々の問題ではなく根本的な事について考えなくてはならない。問題の根本を良く理解して決定しなくてはならない。
不変の事を見なくてはならない。
決定の速さを重視してはならない。あまりに多く操る事は却って思考の不十分さを現わす。何についての意思決定であり、何を満足させるかを知る必要がある。
形にこだわることなく、インパクトを求めなくてはならない。
賢くあろうとせず、健全であろうとしなくてはならない。
基本を理解して決定すべきものと、個々の事情に基づいてすべきものを峻別しなくてはならない。
最も誤りやすい決定は、間違った妥協である。
正しい妥協とそうでない妥協の見分け方を知らなければならない。
決定は実務レベルに降ろさない限りは、決定とは言えず、良い意図に過ぎない。
決定そのものはが基本の理解に関わるものであるのに対し、その実施は可能な限り実務レベルに近いところに位置づけなくてはならない。
■ 二つの実例
ベルのセオドア・ヴェイル
ヴェイルの下した四つの戦略的意思決定。→ 電気通信事業を民間企業が経営するには際立った何か?が必要と考えていた。→民間企業としてのベルをいかなる政府機関よりも、公衆の利益を代表する存在にする方策が必要だった。
第一に。ベルの事業は、公共のニーズを予見し、それを満足させることであると規定する決定を行った。「我々の事業は、サービスである。」
サービスを提供するのが、事業であり、そのサービスを可能とし、利益を上げるのがマネジメントの仕事であるとした。
実際に経営管理者とその活動を評価する基準を作り、彼らがもたらした利益よりも、提供したサービスを評価するようにした。
第二に。全国規模の通信事業者における独占体は、伝統的な意味において、自由企業、全く拘束を受けない民間企業ではあり得ないと考えた。
公益の為の規制を強化。→公正で、効果的かつ原則に立った公的規制はベルの利害と一致し、その存続は不可欠であるとした。
公的規制を効果的なものにする事をベルの目的にした。
各地の監督機関に活力を与える事を仕事とした。
第三に。ベル研究所を設立。いかに独占に競争力を持たせるか?を問題にした。
競争のない独占体は急速に硬直化し、成長と変革の能力を失う。
現在と未来を競争させた。
事業が如何に効率的であって、利益を上げていようともその様な状況を自らの手で陳腐化させる事を目的とした世界で最初の企業研究所。
組織の破壊者、未来の創造者にならなければならないと理解している企業人はあまりにも少ない。
第四に。ベルの為の大衆資本市場を構築した。
企業が政府に乗っ取られるのは、社会主義よりもむしろ資本を得る事の失敗による。
多くの企業は自社の有価証券にたいする投資を唯一の投資家であった投機家に魅力的なものにしようとしていた。しかし、ヴェイルはそうしたくなかった。健全な資金が得られないと考えた。
当時台頭してきた中産階級の為の株式にした。
これらの意思決定は、単にベルが抱えている問題を解決する為のものだった。しかし、これら基本的な意思決定との背後にあった考え方は、真に成果を上げる意思決定というものの特質を表していた。
GMのアルフレッドスロ―ンの分権制。
事業部長達の割拠する連邦だった→お引き取り願うか?彼らに指揮をとらせ続けるか?言わば調整された無政府状態。自分たちの利益のために全体の利益を考えおるであろうというもの。→ 彼らの自我の為に崩壊寸前だったGM。
スローンは、合弁会社特有と考えずに大企業に共通する問題として捉えた。大企業にも統一と統制が必要。真に権力を持つトップが必要だった。同時に現場でも熱意や強さが必要だった。
事業を運営する者には、自由を与えなくてはならない。責任と責任に伴う権限を与えなくてはならない。何が出来るかを示す機会を与え、上げた業績に対して報いなければならない。内部から強力なエグゼクティブを調達する事が必要になるに従って大きな意味を持つようになった。
スローン以外は、この問題を人の問題として理解、勝利者になる者が握る権力によって解決されると考えた。→しかし、スローンは、問題を組織構造によって解決すべきと考え、組織の問題としてみた。そして彼は、組織構造が運営における自治と方向付けにおけるバランスを図るものだった。
ヴェイルとスローンの意思決定は、すべて最高の概念水準に置いて問題に取り組んでいる。いずれも、何についての意思決定かを検討して原則を明らからにした。→ すべてその時の個々に対する対応としてではなく、戦略的な意思決定として取り組まれていた。→ すべて社会的なイノベーションをもたらすものであった。いずれも、基本的な論議を引き起こすものだった。
当時の常識を打ち破るものだった。
■ 意思決定の要因
問題の多くは原則についての決定を通してのみ解決できる。
問題への答えを満たすべき必要条件を明らかにした。
決定を受け入れられやすくするための妥協を考慮する前に、正しい答えすなわち、必要条件を満足させる答えを検討した。
決定に基づく行動を決定そのものの中に組み込んでいた。
決定の適切さを検証する為にフィードバックを行った。
■ 問題の種類を知る
問題は4つに分類できる
(1) 基本的な問題の兆候に過ぎない問題
問題を分析すれば、ほとんどが基本的な問題の症状である。
(2) 当事者にとっては例外的だが実際には、基本的、一般的な問題
合弁を初めて、そして、最後に経験する会社にとっては、それは、特殊な問題だが、合弁は常にどこかで行われている基本的、一般的な問題である。そして、それは、合弁の一般原則に学べばそれでよいい。
(3) 真に例外的で特殊な問題
サリドマイド禍、1965年北米大陸東北部での停電、東電の原発…は真に例外的と説明された。
実際には、真に例外的な問題というのは、極めて少ない。従って、それらしいものと出会っても『真に例外的な事柄か』それとも『まだわからない新しい事の最初の表れか』を問うと良い。
(4) 何か新しい種類の基本的、一般的な問題の最初の表れとしての問題
サリドマイド禍、1965年北米大陸東北部での停電、東電の原発…基本的な解決策が見出されない限り何度でも起こる機能障害の最初の表れに過ぎない事が明らかになった。
真に例外的な問題を除き、あらゆるケースが基本の理解に基づく解決策を必要とする。一度基本を得るならば、同じ状況から発する問題はすべて実務的に処理できる。問題の具体的状況に応じて、原則を適用できる。もちろん真に例外的な問題は、個別に処理しなくてはならない。
従って、問題は、上記4つの内のいずれかである事を時間をかけて知らなくてはならない。
圧倒的に多い間違いは、一般的な問題を例外的な問題の連続としてみること。→その場しのぎの対応になってしまう。
もちろん新しい種類の問題を古くからの問題として捉えてしまう事もある。アメリカの局地的な停電を加速拡大させた例。
問題を間違って捉えてしまった例→問題の定義ミス。アメリカ軍の優秀な医師の早期退役問題。問題は報酬ではなく、一般医を重視しすぎた昇進システム。
問題の内容が十分に明らかになっていない為の間違い。アメリカで自動車業界が突然自動車の安全性について、攻撃されるようになった原因。→事故率は減少しているにもかかわらず、事故件数は増加。事故の減少をさせるための設計の必要性。→不十分な理解が間違った理解よりも危険となりうる事を示している。→性病を治療する医師は不道徳を助長する?と同様に、事故そのものを認めると危険な運転を推奨するとまでは言わなくても、認知する事になると考えていた。不完全性の認知を危険視する性癖。
常に問題は一般的であると言う前提に立つ事が必要。→ 万が一特殊なものであることが分かった場合ですら、それが新しい問題の前触れではないかと問え。そして、この問題もやがては、一般的な問題の第一号になるのではないかと疑え。
臨時のものは生き延びる。「もし、仮に長期のものであってもそうするか」を問え。答えがノーなら、より一般的、より概念的に包括的な問題解決、すなわち正しい原則を定めるべく努力する事が必要。→ これによって、たくさんの意思決定をする必要がなくなる。
成果を上げるエグゼクティブは、原則や方針によって、一般的な状況を解決する。「法律の多い国は、無能な法律家の国」
多くの意思決定を行うエグゼクティブは、怠慢で成果を上げられない。
「観察されるものは、正しく説明されているか?すべて説明されているか」を問え→ 非定形な事が、異常な事が起こっていないかを知る事が出来る。
非定形な事、異常な事が起こっていたら再び元に戻って問題を検討しなくてはならない。
■ 必要条件を明確にする
決定が満たすべき必要条件を明らかにしなくてはならない。意思決定に於いては、①決定の目的は何か②達成すべき目標は何か?③満足させるべき必要条件は何か?を明らかにしなくてはならない。
必要条件を簡潔、且つ明確にすればするほど、成果は上がり、達成しようとするものを達成する可能性が高まる。
必要条件は、「この問題を解決するために最低限必要な事は何か?」を考え抜くことで明らかになる。
スローン『事業部長から権限を取り上げる事によって、必要条件は満たされるか』と自問→ノー。必要条件は、事業部長に権限と責任を持たせること手であった。→個々の人間の折り合いの問題ではなく、組織全体の構造の問題として、解決する事を求めた。
必要条件を見つけるのは、容易ではない。知的なものなら必ず意見は、一致するというものでもない。
ニューヨークタイムスの停電の時の例。ハイフンの使い方に時間を費やした話し。
必要条件を満たさない決定は成果の上がらない不適切な決定。間違った必要条件を満たす決定よりも悪い。間違った必要条件を満たす決定なら救済できる。一応の成果は上がるからだ。満たすべき条件を満たさない決定は、新しい問題を生むだけである。
シューリンフェン計画 →ドイツ軍の対ロシア、対仏戦略。「軍事力の小出しによる消耗戦を避けるという原則を破り失敗」⇒戦略そのもののを変えるべきだったにも関わらず、戦略を保持しつつ、その実現を不可能にした。
意思決定において、満たすべき必要条件を理解して置く事は、最も危険な決定すなわち『悪い事が起こらなければ上手くいくという種類』の決定を識別するためにも必要。奇跡の最も不都合な点は、稀にしか起こらないという点。
アメリカのキューバ侵攻の例…カストロを倒す事と内政干渉に見えない事。→誤りの原因両立しえない二つの必要条件を設定した事、満足させるべき必要条件を十分に検討しなかったこと。
必要条件の設定は事実に基づいて行われるのではない。それは、事実の解釈に基づいて行われる。→必要条件の設定そのものが、危険を伴う判断。だが、必要条件を満たさない決定をしてはならない。
■ 何が正しいかを知る
決定に於いては何が正しいかを考えなくてはならない。妥協が必要になるが、だからこそ、誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。満たすべき必要条件を満足させる上で何が正しいかを知らなければならない。正しい妥協をする意味でも。
スローンがドラッカーに言った言葉。
「何を調べ、何を書き、何を結論とすべきかは、すべてお任せする。正しいと思う事は、そのまま書いてほしい。反応は気にしないでほしい。あなたの仕事だからだ。気に入られるかどうか等関係ない。あなたの助けが無ければ、妥協出来ない者はこの会社にはいないはずだ。しかし、何が正しいかを最初に教えてくれなければ、正しい妥協も出来なくなる。」
妥協にはふたつある。半分のパンと半分の赤ん坊。→ 半分のパンはないよりまし、半分の赤ん坊は、いないより悪い。
「何が受け入れられやすいか」「何が反対を招くから言うべきでない」と心配することは無益、時間の無駄。→何が受け入れられやすいかからスタートしても得ることはない。
■ 行動に変える
決定を行動に変えなければならない。決定において、最も困難な部分が必要条件を検討する段階であるのに対し、最も時間のかかる部分が、成果を上げるべく行動をに移す段階である。決定は最初の段階から行動への取り組みをその中に組み込んでおかなければならない。事実決定の実行が具体的な手順として、誰か特定の人の仕事と責任になるまでは、以下なる決定も行われていないに等しい。
決定を行動に移す為には、「誰がこの決定を知らなければならないか」「いかなる行動が必要か」「誰が行動をとるのか」「その行動はいかなるものか」を問う必要がある。
大手機械メーカーの三年後に生産中止する商品の例
意思決定を実施に移す為の行動は、その行動をとるべき人達の能力にあったものでなくてはならない。
化学品メーカーの西アフリカでの例
決定を実行に移し、成果を上げるためには、往々にして関係者が行動や習慣や態度を変える事が必要になる→行動の為の責任が明確にされ、責任を与えられた人たちが必要な行動を取らなければならない。→ 評価基準、仕事の水準、動機を変えられなければならない。さもなければ、彼らは、心理的な葛藤によって、行動できなくなってしまう。
ベルのサービスについて業績評価。
新しい方針とは、逆の行動の推奨を受けるのであれば、皆は、それがトップが本当に望んだ事と捉える。
■ フィードバックを行う
仮説を継続的に検証するには、決定そのものの中にフィードバックを講じておかなければならない。→決定を行うのは人、人は、間違いを犯す。
ヴェイルのATT株、ベル研のミッションも変化。規制も通信の国際的広がり、国民経済の観点から不適切になった。
スローンの作ったGMの分権制も再検討の時期。
GMは、今や多国籍企業化。スローンの意思決定が今や足かせになりかねない。
米軍『命令はそのまま実行されない事を知っている。実行を確認するためのフィードバックを組織化している。軍では決定した者が直接出かけて行って確かめる事が唯一の信頼できるフィードバックになる』報告書は役に立たない。
命令を受けた直接の部下からの報告をあてにしない。信用していないからではなく、コミュニケーションがあてにならない事を知っているだけである。
自ら出かけ現場を見る事を当然のこととしなければならない。
コンピューターの到来と共にこの事は益々重要になる。自ら出かけて確かめることは、決定の前提が有効かそれとも陳腐化していて、決定そのものを再検討する必要があるかどうかを知るための唯一ではなくとも、最善の方法である。意思決定の前提は必ず陳腐化する。現実は長い間変化しない事はない。フィードバックの為の組織的な情報を我々は必要とする。報告書、数字などである。しかし、現実に直接触れる事を中心にして、フィードバックを行わない限り、自ら出かけて確かめない限り不毛の独断から逃れることは出来ず、成果も上げることは出来ない。
以上
経営者の条件 第七章 成果を上げる意思決定とは?
溝井伸彰
正しい意思決定の要件
意思決定についてのほとんどの文献は、事実を探せと言うが、成果を上げる者は、事実からは、スタート出来ない事を知っている。誰もが自分の意見からスタートする。しかし、意見は、未検証の仮説に過ぎず、従って現実に検証されなければならない。⇒ そもそも、何が事実であるかを確定するには、「有意性の基準」特に「評価の基準」についての決定が必要である。これが、成果を上げる決定の要であり、通常最も判断の分かれるところである。
有意差 ⇒統計で、いくつかの変量の相関関係において、偶然とはいえない差。ある統計的仮説のもとで、例えば0.05または0.01を基準にして、これ以下の確率をもつ事柄が起これば仮説は正しくないと判断するとき、このような基準を百分率で表したものを有意水準という。
成果を上げる決定は、『共通の理解』『対立する意見』『競合する選択肢』をめぐる検討からスタートしなければならない。
そもそも有意性の基準がなければ、事実は存在しない。
物理では、味は事実ではないが料理では、味は、格段に重要な事実である。
つまり、着眼によって事実は変わる。
成果を上げるエグゼクティブは、誰もが意見からスタートする。⇒一つの分野に多くの経験を持つ者は、当然自らの意見を持つべきである。一つの分野に多くの経験を持ちながら、自分の意見を持たないものは、観察力とその姿勢を疑われる。
最初に事実を探すことは、好ましい事ではない。⇒既に、決めている結論を裏付ける事実を探すだけになってしまう。
統計を知っている者は、数字を信じない。
従って、現実に照らして、意見を検証する為の唯一の厳格な方法は、まずはじめに意見がある事、又、そうでなければならない事を明確に認識する事である。
仮説からスタートする事の重要性を忘れずに済む。
仮説は論ずるものではなく、検証すべきものである。
「意見を持つ事」を奨励し、意見を公表した後、事実による検証を求めなければならない。
「仮説の有効性を検証するには、何を知らなくてはならないか。意見が有効であるためには、事実は、どうあるべきか。」を問え。
同時に「探すべきもの、調べるべきもの、検証すべきものが何であるか」を徹底的に考え明らかにする習慣を身につけなくてはならない。
⇒ 決定的に重要な問いは「有意性の基準は何か」この問いへの答えから、検討中の意思決定に必要な評価測定の基準が得られる。成果を上げる正しい決定が如何に行われたかを分析すれば、極めて多くの思考と労力が評価測定の得る事に投じられているかが分かる。
⇒つまり、どうなっていれば、こうだと言うことを定める事。
サービスがベルの事業である⇒評価基準を定めたから成果につながった。
成果を上げる意思決定 ⇒ それまでの評価測定の基準は正しくないものとみなさなければならない。新しい決定が必要になったと言う事は、それまでの評価測定の基準は、もはや意味を失ったと言う事を意味する。
マクナラマが下した、装備調達と在庫の問題についての意思決定と、その基準。
評価測定の為の基準を見出す最善の方法。⇒ 自ら出かけて、現実からフィードバックを得る事。
人事管理上の問題は、平均値を基準にしているが、無意味な場合が多い。
平均事故率⇒特定の場所での事故が多い、平均欠勤率⇒特定の相に集中若い女性等、平均病欠率…。
自動車の安全⇒出かけて行って確認しなかった事が安全設計の必要に早く気がつかなかった要因。
⇒つまり、評価測定の適切な基準を見つけ出す事は、統計上の問題ではない。リスクを伴う判断の問題。
⇒判断を行うには、幾つかの選択肢が必要。幾つかの選択肢があって初めて、何が問題であるかについて、正しい洞察が得られる。⇒評価測定についても幾つかの選択肢が必要。そして、その中から最も適切な基準を選ぶ事が必要。
投資計画⇒回収期間、利益率、現在価値法。
選択肢すべてについて検討を加えなければ、視野は閉ざされたままである。
意見の不一致を必要とする
「相反する意見の衝突」「異なる視点との対話」「異なる判断の選択」があって初めて良い意思決定が行える。
意見の不一致が見られない時は判断してはならない。
スローン完全一致の場合は、理解を促進する時間を設けた。
『この決定がいかなる意味をもつかについて、もっとよく理解するため』に意見の不一致を生み出す。
その結果問題のあらゆる側面が提示される。
反対尋問
意見の不一致が必要な3つの理由。
組織の囚人になる事を防ぐ…善意の元に都合のよい決定をして貰おうとする事に対する対処。
選択肢を与える…選択肢のない意思決定はむこうみずなばくち。
想像力を刺激する。…不確実の問題においては、新しい状況を作り出す為の創造的な答えが必要。⇒ 想像力=知覚と理解。理論づけられ、検討されつした、裏付けのある反対意見は、想像力を刺激する。
成果を上げ経る意思決定者は、意図的に意見の不一致を作りだす。
もっともらしい意見による間違いを防ぐ。正しい決定を導く。
一つの行動だけが正しく他の行動はすべて間違っているという仮定からスタートしてはならない。但し、意見の不一致の原因は必ず突き止めなくてはならない。
明白で分かり切った事に反対する人は、馬鹿か悪者に違いないと思ってはならない。反対する人も、知的で公正であると仮定しなくてはならない。
明らかに間違った結論に達している人は、自分とは、違う現実を見て、違う問題に気づいていると考えよ。
成果を上げる人は、何よりも、まず、問題の理解に関心を持つ、誰が正しく、誰が間違っている等はどうでもよい。
法律事務所の新人の話。⇒相手がたに立って論陣を張らせる。こちらが正しいという前提でなく相手側が何を知り、何を捉え、何を持って且つと信じているかを考え抜く事で、問題の真意をはじめて知る事が出来る。
ほとんとの人が自分の見方が唯一であると確信してスタートしている。
あらゆる側面丁寧に見るための手段として、意見の対立を使う。
意思決定は本当に必要かを自問する
何もしないと言う代替案が常に存在する。意思決定は外科手術。システムに対する干渉であり、ショックのリスクを伴う。
何もしないと事態が悪化するのであれば、行動しなくてはならない。機会についても同じ事が言える。急がないと機会が消滅するなら、行動しなくてはならない。
楽観的という訳ではなく、何もしなくても問題は起こらないと言う状況がある。何もしないと何が起こるかという問いに対して、何も起こらないという答えなら、手をつけてはならない。
合理化と二三人の可哀相な工員の話
行動した場合としなかった場合の犠牲とリスクを比較する。
得るものが、犠牲とリスクを大幅に上回る⇒行動する。
行動するか、しないかのいずれかでなければならない。二股、両者の中間はあり得ない。⇒手術はするかしないか。
決定が完了したなら、決定が愉快でなく、評判も良くなくとも、しかし、勇気が必要。実行が必要。良薬口に苦し。決定が、苦くなくてはならないと言う事はない。しかし、一般的に成果を上げる意思決定は苦い。
絶対してはいけないのが、もう一度調べようとする事。臆病ものは1000回死ぬ。
しかし、決定の意味について完全に理解していると言う確信なしに決定を急いではいけない。ソクラテスの言った神霊…気をつけよとささやく内なる声に従え。
意思決定の正しさを信ずるなら困難や不快、恐怖があっても、決定しなくてはならない。
しかし、ほんの一瞬でも、理由が分からなくても、不安、気がかりがあれば、しばらく決定を待つ事。⇒10回に一回は、重要な見落とし、基本的な間違いに気がつく事がある。
但し、数日か、数週間の間には決定を下す事。
エグゼクティブは、好きな事をする為に報酬を得ているのではない。成果を上げる意思決定をする為に報酬を得ている。
意思決定とコンピュータ
コンピューターのお陰で、エグゼクティブは、その場しのぎの処理から脱却し、本当の意思決定をしなければならなくなる。コンピューターは、力ある道具。しかし、本当の意思決定を行わなくてはならなくなる理由は、コンピューターの限界による。
コンピューターは、単純で明白な事しかできない。人は、論理的ではなく知覚的。しかし、人は、聡明で洞察力がある。応用力がある。人は、不十分な情報から全体像を推し量る事が出来る。プログラム化していなくとも考える事が出来る。
在庫と出荷の判断の話。
在庫についての基本方針に取り組むや否や、直ちに行うべき基本的な決定は、たんなる在庫管理ではない事に気がつく。大きなリスクを伴う事業上の決定である事を知る。在庫とは、「納入期限」「生産日程」「資金の固定化」に関わるリスクとコストのバランスの問題。…つまり、すべての要素をコンピューターにプログラム化しない限りコンピューターで在庫管理は出来ない。そしてこれこそ人間が行う事。
コンピュータに期待するためには、十分な検討の元にあらかじめ、決定を行わなくてはならない。
意思決定は、もはや、小さな適応の連鎖、問題処理の積み重ねではない。大まかな対応、事実上の決定という形では行えなくなる。意思決定は、基本方針についてのものでなければならなくなる。
意思決定は、少数のトップが行う時代ではなくなった。あらゆる人、あらゆる組織の通常の仕事になった。
リスクを伴う体系的な意思決定をしなければ、PERTは、機能しない。
コンピューターを使うには、明確な分析、特に意思決定が満たすべき必要条件についての分析が必要になる。=高度なリスクを伴う意思決定。
コンピューターによって、もう一つ、組織内部の事に時間を取られていたことから、そう言う無駄から解放される。⇒ 成果を得られる唯一の世界たる外部に出かけ、自分の目でものを見る事が出来るようになる。
コンピューターがもたらす最大の影響はむ、まさしく、その抱える制約の故の単なる対応ではなく意思決定を必要とさせることだ。
業務の運営を行う経営管理者が、リスクと不確実性を伴う判断の問題として、自ら意思決定を行うようになれば、大規模組織に特有の弱みの一つ、すなわち、意思決定を行うトップの地位に就くべき人間の訓練と選抜の機会の欠如という問題を解決できる事になる。
組織の末端の人間までがエグゼクティブとなり、成果を上げる意思決定を行わなくてはならなくなる。
以上
ドラッカー経営者の条件
終章 成果を上げる能力を修得せよ
成果を上げることは使命
二つの前提
1) エグゼクティブの仕事は成果を上げることである。
エグゼクティブは、自らの組織に対して、成果を上げる責任を持つ
エグゼクティブが、エグゼクティブに値するためには、何を習得し、何を行わなければならないか。
組織の成果とエグゼクティブ自身の成果。
2) 成果を上げる能力は修得できる。
成果を上げることは、学ぶことはできるが、教わることはできない。
成果を上げることは、教科ではなく、修練。
成果の向上に資するものは何か。
● 成果を上げることは、個人の自己開発のために、組織の発展のために、現代社会の維持発展のために死活的重要性を持つ。
1) 第一ステップ 時間が何に使われているかを記録する。
機械的。→ 時間の分析、時間を浪費する要因の除去
きわめて基本的意思決定→姿勢、関心、関心の変化を要求する。時間の使い方や活動や目的の重要度に関しての意思決定。
時間という貴重な資源の利用の効率化。
2) 第二ステップ 貢献に焦点を合わせる。
作業的ではなく概念的。機械的ではなく分析的、効率ではなく成果への関心度。
エグゼクティブは、貢献するために存在する。→徹底的に考えよ。
自らに対する高度の要求、組織の目的についての検討、価値への関心を必然とする。
上司を喜ばせる部下としての行動ではなく、エグゼクティブとしての責任ある行動。
自らと自らの視点の焦点を貢献に合わせることで、手段ではなく目的を中心に考えるようになる。
3) 第三ステップ 強みを生かす。
人=すなわち自分と他人を敬うこと。→生きた価値体系
強みを生かすことは実行によって修得するべきこと。エグゼクティブは、強みを生かすことで、個人の目的と組織のニーズを結びつける。個人の能力と組織の業績を結びつけ、個人の自己実現と組織の機会を結びつける。
4) 最も重要な事に集中せよ。
汝の時間を知れに対置。エグゼクティブの成果を上げる二本柱は、時間の使われ方を知り、最も重要な事に集中すること。エグゼクティブの成果と組織の成果という最終製品。
発展させるべきことは、洞察、自立、勇気など人に関わること。→リーダーシップ。
聡明さや才能によるリーダーシップではなく、持続的なリーダーシップ、献身、決断、目的意識によるリーダーシップ。
5) 意思決定。
→合理的な行動に関わるもの。
成果を上げる意思決定には、プロセスと分析の二つが必要。その本質は、行動の倫理。
※ 現代社会とその組織が必要とする膨大な量のエグゼクティブを得るという目標。→組織のニーズは非凡な成果をあげられる普通の人によって満たされなくてはならない。
※ 成果を上げるエグゼクティブの自己啓発とは、真の人格形成である。機械的な手法→姿勢、価値、人格へ。作業→使命と進むべき。
※ 一人一人の自己啓発が、組織の発展に重要な意味を持つ。→組織が成果を上げるための道。
※ 成果に向けて、働くとき人は、組織全体の成果水準を高める。自分と人の成果水準を高める。→組織は良い仕事、新しいことができるようになる。
※ エグゼクティブの能力の向上は、組織の方向付け、目的目標に対する挑戦を意味する。
※ 働く人たちの目を日常の問題からビジョンへ。弱みへのこだわりから強みの発揮へ。高い能力と意欲を持つ人に対して、組織自身を魅力ある存在にするとともに、高度の仕事ぶりと献身を動機付けることになる。
※ 組織は、優秀な人がいるから成果を上げるのではない。組織の水準や習慣や気風によって、自己啓発を動機付けるから優秀な人を持つようになるのだ。そして、そのような組織の水準や気風は、一人ひとりの人が自ら成果を上げるエグゼクティブになるべく、目的意識を持って、体系的に、かつ焦点を絞って、自己訓練をするから生まれるのだ。→ これは、社会の要請でもある。
※ 成果を上げる組織は、今日さほど多くない。→活動が散漫。あまりに多くの資源が昨日のために費やされ、意思決定と行動を避けるために費やされている。
※ 組織もエグゼクティブと同様成果を上げるための習慣を自らのものにする必要がある。問題ではなく機会の開発に力を入れることを学ぶ必要がある。強みを生かす努力をしなければならない。すべてのことを少しずつ行うのではなく、優先順位を決めて集中しなければ ならない。
※ エグゼクティブの成果を上げる能力こそ、組織が成果を上げるための基礎的条件であり、組織の発展に対して重要な貢献を行う。
現代社会に不可欠なもの。
※ 知識労働者は、先進国で急速に主たる資源になりつつある。また主たる投資になりつつある。教育こそ、最も高い投資である。
※ しかし、知識労働者の生産性の向上は、いまだなされていない。
※ 問題のカギは、エグゼクティブの成果を上げる能力である。
※ 知識労働者の心理的社会的欲求の充足と組織の欲求の両者を充足させることが大事。
※ 彼らの心理的な欲求や価値観は、組織における仕事と知識を通して、満足させなくてはならない。→できなければ、自己疎外、倦怠、フラストレーション、諦観が問題となる。…経済的充足ではない。=貧しくはない。
※ 組織の目標は自動的に個人の自己実現を意味しない。→強みを生かすものは、仕事と自己実現を両立させる。自らの知識が組織の機会になるように働く。貢献に焦点を合わせることによって。自らの価値を組織の成果に変える。
※ 賃金が最低水準を超えた瞬間、経済的報酬だけで満足するという考え方は、消滅した。知識労働者は、機会、達成、自己実現、価値を必要とするようになった。知識労働者は、自らを成果を上げる者にすることによって、満足を得られる。
※ エグゼクティブの成果を上げる能力によってのみ、個人からの貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のために組織を使うという個人のニーズを調和させることができる。→エグゼクティブは、成果を上げる能力を修得しなければならない。
以上